売れ方を変えた ー逆転の発想100ー

先人たちがどのようにして、売れない商品を立て直してきたのかは、非常にヒントになります。様々なパターンを取り上げました。

No2 ー空気清浄機ー

開発者はこう考えた

開発側は、
フィルターを使わない独自の光触媒技術を手にし、
 「フィルター交換不要で経済的!」
 「ウイルスや菌を徹底除去!」
 「デザイン性も抜群!」

という特徴を前面に出し、

20〜30代のインテリア好き、
ペットを飼っている層、
ハウスダストに悩む家庭
をターゲットと考えました。

確かに、アンケートを取れば
「フィルター掃除がないのは楽ですね」
「ウイルス除去できるなら安心」
「デザインもかっこいい」
と言う反応です。
SNSでもそれなりに話題になります。

しかし、思うほどには売れません。
なぜでしょうか。


実は「そこまで」困っていなかった

一般消費者は、
確かに部屋のニオイが気になったり、
ウイルス対策をしたいとは思っています。
しかし、それは「他より高額でも解決したい問題」
ではありませんでした。

さらに、別の本音もありました。

「 安い空気清浄機とそんなに違うの?」
「 フィルターがないと、綺麗になっている実感がない」
「目に見えないから効果が分からない」
つまり、
「欲しい」とは思うけれど、
「わざわざこの高価な新技術の商品を買う」
実感がなかったのです。

価値を、価格ほど認識できない。
これが一般家庭向け販売の限界でした。

では、誰が本当に困っていたのか

ここで、「別の場所」に目を向けると、
全く違う理由で、
切実に困り果てている人たちがいました。
医療機関、介護施設、そして食品工場の衛生管理者たちです。
特にコロナ禍以降、
彼らは猛烈な「痛み」とリスクを抱えていました。

感染症対策をしなければならない。

従来の空気清浄機を置く。

定期的にフィルター掃除が必要。

フィルターを掃除する時、
スタッフがウイルスに感染してしまうのではないか?」

一度でも集団感染や衛生トラブルが起きれば、
数千万円単位の損害や、
最悪の場合は営業停止になる。

これは一般人の「なんとなく綺麗にしたい」とは次元が違う、
「絶対に失敗できない明確なリスク)」です。
しかも、毎日発生する恐怖でした。

本当に見つけたのは何か

見つけたのは、「空気清浄機ニーズ」ではありません。
発見したのは、
「衛生管理」のプレッシャーと、
「フィルター清掃時の感染恐怖」です。

ここが重要です。
病院や工場は、
光触媒という技術が欲しかったのではありません。

スタッフと顧客の安全を確実に守りたい
 衛生基準を確実にクリアして、事業リスクを無くしたい


これが本当のニーズです。
空間清浄機はその「解決手段」のひとつに過ぎません。

この事例から何を学ぶか

多くの場合、新商品が売れないと「技術の説明」を強めてしまいます。
「うちの光触媒はすごいんです」「ウイルスを完全除去できるんです」と。
しかし顧客は、技術の凄さにはお金を払いません。
「自分の困りごとの解決」にお金を払います。

それが
「自宅を清潔にしたい」よりも
「事業の衛生リスクマネジメント」
の方が、圧倒的に「困っていた」
ということです。

アンケートの「欲しい」に騙されず、
「誰が一番、夜も眠れないほど困っているのか」を
現場から掘り起こした。
これが、この商品を化けさせた。

NO3 ー剥がれる壁紙

開発側はこう考えた

「賃貸でも貼れる」
「自分の好きな内装に」
「DIYを楽しめる」

という特徴から、
20〜30代女性やインテリア好きに売ろうと考えます。

確かに、
アンケートを取れば
「欲しいです」
と言う声が多く、

SNSでも反応があります。
しかし思ったほど売れません。

なぜでしょうか。


実は、それほど困っていなかった

みなさん、
部屋の雰囲気を変えたいとは思っています。
しかし、
それは今すぐ解決したいほどではありません。

さらに、
・失敗したくない
・面倒
・サイズ計算が分からない
・一人で貼れない
という別の不安があります。

つまり、
「欲しい」とは言う。

しかし、

「お金と時間を使ってまで解決したい」
ほどではない商品でした。

では、誰が本当に困っていたのか

別の人たちが困っていました。

賃貸オーナーです。

退去が発生する。

壁紙が傷んでいる。

職人を呼ぶ。

張り替える。

数万円〜十数万円かかる。
最近では手配に時間もかかる

次の退去でまた発生する。

これは明確にお金がかかる痛みです。
しかも毎回発生します。

本当に見つけたのは何か


見つけたのは、
単なる「壁紙ニーズ」
ではありません。

発見したのは、
修繕コストという困りごと
です。

ここが重要です。

利用者は、
剥がせる壁紙が欲しかったのではありません。

・ 修繕費を下げたい
・空室期間を減らしたい
・物件価値を上げたい

これが本当のニーズです。

「剥がせる壁紙」はその解決手段に過ぎません。

その手段は、従来考えていた
「DIYの楽しさ」とは異なる提供価値を持っていました。